「書評 鉄壁のリスクマネジメント」

「書評 鉄壁のリスクマネジメント」

 

 

 

 

Twitter書評は以下です。

「業績を伸ばすための"守り"を固める 鉄壁のリスクマネジメント」 3点。リスクマネジメントについて詳しく書かれている。最後の事例はいらなかったかも。でも、経営者なら、一通り、目を通しておきたい本である。リスクを極力、減らす努力は必要だからだ。 

 

以下、気になる箇所を抜粋します。

ビジネスで無視してはいけない「300:29:1」の法則。

 

「300:29:1」の法則。これは、1件の重大事故が起こった場合、それ以前に29件の軽い自己、300件のヒヤリ・ハットが発生しているという法則です。アメリカの損害保険会社の技術・調査部に勤務していたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが1929年にこの法則を論文で主張し、保険業界では「ハインリッヒの災害トライアングル定理」、「傷害四角錐」とも呼ばれてよく知られています。

 

時を隔てた現代社会においてもこの法則は変わることはありません。例えば1件の重大クレームの陰には、29件のネガティブな意見、感想があり、さらにその下には300件ものユーザーが、何がしかのマイナスの感情や違和感を抱いているのです。もちろん、クレームを「事故」、「労災」に置き換えても全く同じことが言えます。

 

マスコミに大々的に取り上げられる重大事故の陰では常に29件の軽微な事故が発生しており、さらにその陰で、300件ものささいなミスが発生しているのです。P17、18。

 

 財務上のリスク対処は与信管理を工夫する。

ビジネスの取引上、当然のこととしてみなさん行っていることのひとつに与信管理があります。自社の財産である製品が取引先企業に渡った時点で、売掛金を受け取る権利が発生しています。売掛金をきちんと現金として回収できるスキームをつくり上げる、それが与信管理です。

 

与信管理の方法を具体的に言えば、相手先の経営内容を正しく評価し、信用して取引ができるか否かを判断するために調査を行い、資料を入手し、分析する信用調査から始まります。

 

信用に足り得る相手であれば、信用供与の最大金額を算出し、取引金額および与信金額に限度を設定、与信限度内で運用を行います。

 

改めて書き連ねてみると難しく思えますが、ビジネスを行うにはごく当然のこととして、みなさん行っているはずです。これには会社の規模は関係ありません。

 

保険では取引信用保険が備えとしてあります。取引先の倒産により、継続的な売買をすることが困難で、売掛代金を回収できなくなった場合に、その損害の一定部分について保険金を受け取れるものです。

 

中堅から大手企業など、ビジネスの規模が大きいほど、この保険への加入率も高いと思われます。また取引先がそれなりの会社でないと、この保険自体掛けられないこともあります。

 

これから起業するという場合は、たいてい初めての企業とのお付き合いになるかと思います。与信においては、まずは帝国データバンクなどの機関を利用し、信用に傷がついていないか、きちんとお金を支払ってもらえるか確認する必要があるでしょう。

 

帝国データバンクは大手金融機関をはじめ、売掛金で売買する企業なら、みな利用している可能性が高く、信用できると思います。

 

昔、銀行員は「看板を見てこい」「社長の様子見てこい」と上役から言われることがしばしばありました。会社の雰囲気や社長、従業員の様子から危ない兆候を読み取れるからでしょう。時には、社長自らが動いて与信管理することもやはり必要なのではないでしょうか。P119,120.

 

 最低限の「法律上の賠償責任」について知っておく。

さて、この法律上の賠償責任ですが、債務不履行不法行為という2つが重要なキーワードとなります。ごく簡単な例として、以下を挙げてみます。

 

債務不履行」〜 「10Kgのみかんを3000円で購入したのに大半が傷んでいて食べられなかった」という場合、契約に対して債務を適切に行っていません。そこで履行すべき債務が発生してきます。食品としてのみかんを10Kg提供する代価として3000円を受け取っているので改めて履行(つまり良品を再納品する、あるいは代金を返却する)する義務が発生します。これを賠償責任とは言いません。

 

不法行為」〜 同じくみかんを例に取ると、「みかんが入っているダンボールの留め金の鋭利な部分が飛び出しており、箱を持つとケガをする構造になっていた」という場合、消費者に損害を与えるため不法行為となります。

 

この不法行為により、箱を持った消費者がケガを負ったり洋服に引っ掛けて破れてしまった場合、その治療費や修繕費用を不法行為を行った加害者が負担する責任を賠償責任と言います。

 

これはごく簡単な例で、実際には複雑であり、判断には時間を要する場合もあります。保険適用の観点から言えば、債務不履行自体は保険では基本的にカバーできません。債務不履行でも不法行為でも、それによって発生した人やモノの損害賠償については、保険でカバーできます。

 

先ほどのみかん箱の例では、留め金が飛び出したのが製造上のミスならカバーできますが、不特定多数を傷つけてやろうと故意に行ったのであれば補償はできません。なお、故意とは自分の行為が一定の結果を発生させるだろうと予見しながら行っていたことです。

 

賠償責任は債務不履行不法行為のどちらか、もしくは両方がある場合に発生します。いずれにせよ、賠償責任が発生しないよう安全で健全な経営を目指すのが第一ですが、万一の時にどうするのか、保険や仕組みづくりなど考慮しておくことが必要となります。

 

また、賠償責任は第三者に対して損害を与えた場合を指しますので、自分の所有物を自分の過失で壊した場合には対象外ですし、業務中に自分や従業員がケガをした場合も他人ではないので対象外です。これらの損害を補償するものは他の保険になります。P125〜127。

 

ニューリスクに備えるために組織を改革する。

本章の冒頭でも触れていますが、近年顕在化してきた様々なリスクを私は「ニューリスク」として位置づけ、分析しています。例えば次のような内容です。

 

「IT化によるリスク」〜特に個人情報の取り扱いによるもの。

「従業員が抱えるリスク」〜ハラスメント、労使の価値観の違いによる問題。

 

これ以外にもSNSに端を発する炎上、ネットの風評被害といったものが増えていることは実感できると思います。さらに意匠権、肖像権、著作権特許権などの権利侵害があります。権利侵害は、今後、さらに増加が見込まれるニューリスクであろうと捉えています。P138。

 

参考・引用文献。