高橋洋一の経済論

高橋洋一の経済論」というタイトルで論じたいと思います。

 

高橋洋一氏の「日本を救う最強の経済論」という本からの引用・まとめです。

 

 

 

 

IMF国際通貨基金)のレポートによれば、1970年から2007年までに不良債権問題による銀行危機の発生回数は124だ。バブルを不良債権問題があったかどうかで見れば、世界のほとんどの国でいつも起こっていることになる。

 

このIMFのレポートでは、日本の銀行危機の財政コストはGDP(国内総生産)の14%、生産損失はGDPの18%とされた。世界各国の銀行危機の平均的な財政コストはGDPの13%、生産損失はGDPのの20%となっているから、日本のバブル崩壊による損失は世界の平均的な数字だ。

 

略。

著者の定義は単純だ。バブルとは「資産価格の上昇」でしかない。P37。

 

当時の日銀は、こうしたバブルの状況分析と要因分析を正しくできず、政策金利(当時は公定歩合)を引き上げて金融引き締めをした。前述したように、資産バブルを生んだ原因は、法の不備を突いた営業特金や土地転がしなどによる資産売買の回転率の高さだったが、日銀は原因分析を間違え、利上げという策を実施してしまったのだ。

 

もちろん、資産売買の回転率の高さによって起こった資産バブルに利上げは効果を持たない。日銀の利上げは、資産バブル対策としては役に立たなかった。P47。

 

事業者なら分かると思うが、消費税の算定は売上げから経費を引いた額に8%を掛けるようになっている。つまり、売上げから経費を引いている事業者には税の控除があるのだが、その事業者が経費を支払っている側には消費税がかかることになる。

 

さらに経費を支払っている側も売上げから経費を引いた額にしか消費税がかからないが、さらにその経費の方には消費税がかかっている。どこかで誰かが税金をごまかせば、取引先に迷惑がかかるなど、売上げと経費、課税額がすべてつながっているという仕組みがあるのが消費税の特徴だ。

 

例えば、物品などの送り元と送り先がつながっているインボイス(送り状)というシステムがあるが、消費税はそれによく似ている相互牽制の仕組みだ。つながっているので、どこかで誰かがごまかせば芋づる式にそれが分かってしまう。インボイスのどこかでズルをする業者がいれば、取引先の業者が困る。他者、他人の課税をひっかぶってしまうからだ。

 

つまり、脱税や課税逃れ、節税などのごまかしがしにくい相互牽制の税制が消費税であり、財務省が消費税に強いこだわりを持っている理由がここにある。消費税に関して言えば、納税者は真面目に申告せざるを得ない。

 

消費税は地方の税収に。

同じような税制に源泉所得税がある。事業者としては源泉徴収額を多めに申告したくなるが、そうすれば雇用される側、社員が困ってしまう。事業者に対して税金を労働者に押しつけるなということになって、これも相互牽制の仕組みだ。念のために書いておけば、筆者は消費税自体について批判しているわけではない。P89、90。

 

要約。(P130〜145まで)

政府による金融政策でお金をたくさん刷って世の中にお金を回すと、物価が上がり、失業率が下がる。

 

失業率とインフレ率には逆相関(一方が増えればもう一方が減る)の関係があり、これを「フィリップス曲線」という。この理論によると、2%程度のインフレになれば、ほぼ3%の完全雇用失業率に対応することになるそう。

 

世の中にお金が増えると、皆がそのお金を欲しくなり、商売を始めたり、貸出しが増えたり、投資家が企業に投資するようになる可能性がある。企業は設備投資をしたり、工場が増えて工場の稼働率が上がったりして、その結果、人手不足になり、失業率が下がるとなる。

 

しかし、この流れの中において、ミクロ(個々)の動きでは儲かる人もいれば失敗する人も出てくるが、マクロ(社会全体)でみれば、 お金が動いて活発化する。

 

ただ、実際の経済では失業率とインフレ率の間に完璧な「1対1」対応があるわけではなく、失業率が下がっても、インフレ率がすぐに上昇しないこともある。もちろん、失業率が下がって雇用の確保ができれば、インフレ率を心配する必要はあまりないが。

 

だが、インフレ率が上がらない理由をきちんと理解しておいた方がいい。フィリップス曲線を詳細に見ると、両者の間はGDP国内総生産)ギャップを介在して逆相関になる。GDPギャップと将来のインフレ率の間には安定的な関係があり、GDPギャップがマイナスで大きいと将来の物価が下がるのだ。

 

この関係に、マネタリーベースの伸び率を加えると将来のインフレ率を予測することができるのだが、ここに増税(消費税など)の影響が入ると、インフレ率の上昇が抑えられてしまう。日本では2014年4月に消費税の税率が5%から8%に上がり、この影響で物価がなかなか上昇しなかった。ただ、原油価格の低迷や中国の景気動向なども複雑に影響する。もちろん、原油や金属価格などが低迷すれば、日本経済にとってプラスだ。

 

さて、まともに統計分析すれば、生産年齢人口とはコンスタントに減少する一方、失業率は景気で上下する。つまり、傾向を除去して考えれば両者(失業率の低下と生産年齢人口の低下)は無関係であることが分かる。

 

オークンの法則によれば、経済成長と失業率の減少には正の相関がある。この法則は先進国なら普遍的に成立する。

 

となると、経済成長悪玉論者は、経済成長を否定し、失業率が上がった場合、どうするのか?となる。確かに、経済成長にはデメリットもあるが、メリット・デメリットを比較して、やってみてメリットの方が大きそうなら、それを採用すべきだ。

 

 さて、日本の最低賃金は、ほぼ前年の失業率に応じて決まる。失業率が高ければ、最低賃金の上昇率は低く、失業率が低いと最低賃金の上昇率は高くなる。最低賃金も雇用環境を反映し、実際の賃金と似たような動きになっている。このことから、金融政策によって良い雇用環境をつくることができれば翌年の最低賃金を引き上げることができると言える。

 

賃金は実際の景気変動に遅れる遅効経済指標(遅行の間違い?)であり、最低賃金はその典型だ。

 

失業率が下がり賃金が上がっても、非正規雇用の問題などで批判する人がいる。しかし、失業率が下がっても急に正規労働者が増えるわけがない。物事には順番がある。

 

まず最初に失業率が下がり、定期昇給は年に一度か多くても二度しかないのだから、失業率の低下から少し遅れて賃金の上昇が起きる。人手不足なのだから、同業他社よりも条件待遇を良くしなければ人材は集まらない。

 

そうした状況が続けば、雇い入れる側はさらに非正規を正規採用にするなり、さらに条件の上乗せを図る。正規雇用が増えるのは、そうした様々な事象が起きた後になるだろう。

 

正規・非正規の問題よりも、実は相対的貧困率を気にした方がいい。相対的貧困率とは、国民を所得順に並べ、その中央値の半分に満たない人の割合のことだ。この場合の「所得」とは、年間の世帯所得を世帯構成による差を調整して計算した1人当たりの可処分所得だから、相対的貧困率は国民の所得格差を示す指標の一つと言えるだろう。

 

所得が中位の半分以下の人の比率が「相対的貧困」なのだから、社会全体の生活水準が上がっても相対的貧困は変わらない。一方で「絶対的貧困」という言葉もある。これは国際連合発展途上国の貧困指標として用いる「1日1ドル未満の所得」や「1日の栄養摂取量が1500キロカロリー未満」などの水準から貧困を示す考え方だ。

 

日本の相対的貧困率の推移はほぼ一貫して上昇してきた。これは世界でも同じ傾向にあり、世界中で格差が広がってきているといえるだろう。

 

所得格差は、同一年齢・同一性における所得格差、年齢別所得格差、男女別所得格差によって左右されるが、日本の場合は年齢別所得格差と男女別所得格差が海外と比べて大きい、といわれている。

 

これが日本の相対的貧困率OECD諸国の中でも高い方に位置している理由なのだが、同一年齢・同一性における所得格差は正規雇用非正規雇用かの差が大きい。だが、前述したように、今後は正規・非正規が均等扱いとなる方向へ動くから、ゆっくりと徐々に格差はなくなっていくはずだ。

 

一方、年齢別所得格差はかなり大きく、これはなかなか解消しないだろう。年齢別格差は高齢化もあり、より格差問題の大きなファクターになっていく。男女別所得格差は女性の社会進出が進むにつれて解消されていくはずだが、日本は先進国の中では珍しく女性の労働力率が「M字カーブ」になっていることが気になる。以上、ここまで。

 

145ページ以降も濃い理論や主張が展開されており、非常に読み応えがある本です。

 

役所の天下り批判はP119〜123までに書かれています。興味ある方は本書で。 

 

 

また、ひろゆき氏の経済やビジネスなどについての意見の動画を載せます。

 

 

引用・参考文献。