書評「問題解決「脳」のつくり方」

書評「問題解決「脳」のつくり方」

 

 

 

Twitterでのつぶやきは以下です。

 

 

「問題解決「脳」のつくり方」 3点。翻訳本。最高のソリューション(解決策)の作り方が書かれている。問題解決について考察を深めたい、視野を広げたい人は読んだ方がいいと思う。1890円と少々、値段が張るのが難点か。一読はしておきたい本。

 

以下、気になった箇所を抜粋します。

 

「人間の合理性は効用を最大化し、入手できるすべてのものの中から最良のものを選ぼうとする。だがその一方で、ほどほどに良いもので妥協しようとする側面も人間は持っている」とサイモンは述べている。つまり、可能な限り最良の選択をするために必要な情報をすべて手に入れることなどとうていできないのだ。

 

サイモンが限定合理性を明らかにした当時は、グーグルのような便利な検索ツールは存在しなかった。しかしたとえグーグルがあったとしても、サイモンの考えは変わらなかっただろう。なぜなら人間の認識能力には限界があり、仮に必要な情報をすべて簡単に入手できたとしても、最良のものを選ぶためにすべての情報を処理することは不可能だと考えていたからだ。

 

「人間は世界を空っぽなものとして捉えたり、すべてのものの間に存在する相互の関係性を無視したりする(つまり、思考と行動に関して非常に無感覚な状態にある)。その結果、自らの思考能力の限界を超えることのない比較的おおまかなやり方で意思決定を行っている」といういささか辛辣な意見をサイモンは抱いていた。

 

要するに、意志決定のための信頼できるアルゴリズムがない以上、自分が持っている手段の中で最も効率的な手段に頼る以外に方法がないということだ。その手段とは、「経験則」である。P152、153。

 

その結果わかったのは、多すぎる選択肢は実際に人を不幸にするということだった。最も良いものを選ぼうとする人(マキシマイザー)のほうが条件の良い仕事を見つけることはできたものの、ほどほどに良いもので満足する人(サティスファイザー)と比べて初任給が平均20%も高いにもかかわらず、満足度は低いという結果が出たのだ。これは最近の調査でも裏付けられている。

 

仕事を選ぶという撤回できない決断をしたあと、その決断に対する満足度が高いのはサティスファイザーのほうだが、その決断を撤回できるかできないかを選択していいと言われると、撤回できないほうを選ぶ。それはおそらく決断したあとになってあれこれ考えるのは嫌だという気持ちの表れだろう。

 

一方、マキシマイザーは、撤回できる決断をしたあとのほうが満足度が高かった。また彼らは将来何かを決断する際にその決断を撤回できるかできないかを選択できるとしたら、撤回できるほうを選ぶと答えている。それはおそらくチャンスを逃すことへの恐怖心の表れだろう。

 

ここまでくると、「それなりに良い答えで納得してしまう」という思考の欠陥と「結論を出し急ぐ」という思考の欠陥の間に共通点があることがわかってくる。どちらもより困難な課題に対して熟慮が必要となるときに、まずいタイミングで思考を誤るのだ。

 

つまり、こういうことだ。ジャムや仕事を選ぶときには、ほどほどに良いものを選ぶというのはきわめて健全な戦略だ。しかし、より高次の決断を迫られているときやより大きな影響力のある解決策が求められているときには、最善の解決策を追い求めてさらなる検討を重ねる必要がある。

 

ほどほどの解決策で満足してしまえば、将来的に深刻な悪影響を生み、求めていた成功を達成できなくなる可能性があるからだ。勝利を手にしたいなら、本心はどうあれマキシマイザーの行動が求められる。

 

古代ギリシャの哲学者エピクテトスが残した言葉は、「(最良の答えを求めたほうがいい場面で)ほどほどの答えで満足してしまう」という思考の欠陥を解決するための手がかりになる。

 

その言葉とは「何をするにしても十分に考えてから取り掛かることだ。さもなければ意気揚々と始めても考えてもみなかったような結果が現れたとたん、恥ずべきことに投げ出してしまうことになるだろう」というものだ。

 

要するに行動すること自体は悪いことではないが、そのまえに自分が本当に求めているのは何なのかを慎重に考える必要があるのだ。P157〜159。

 

伝説の経営者ジャックウェルチがゼネラル・エレクトリック社(GE)のCEOを務めていたときに直面したのが、まさにこの問題だった。勝つことを何よりも重視するウェルチは、GEのすべての事業部門で市場占有率2位以上、可能な限り1位を獲得することを社員に求めた。

 

すると各部門の責任者は、マーケットの定義を変更し始めた。それぞれのマーケットで自社が1位か2位に入るように、マーケットを小さく見積もるようにしたのである。それに気づいたウェルチは、どの部門も10%以上のシェアを獲得できなくなるように制約をかけ直した。

 

自分たちのシェアよりも市場のほうがはるかに大きいとなれば、首位を獲得する機会を求めて部下たちがもっと積極的に動くようになるだろうと考えたからだ。P179。

 

以上、ここまで。

 

他にも、思考課題の問題が出され、読者の問題解決力を試しています。

P21からの「高級フィットネスクラブのシャンプーの問題」や、P88からの「ビデオの巻き戻しの問題」などがあります。2つ目の問題は1分くらい考えて、解けました。

 

副題の「なぜ、最高のソリューションが出ないのか?」についても本書では答えを出していると思います。最高のソリューション(解決法)の出し方が書かれている本ですからね。

 

以上です。

 

引用・参考文献。