理論と実践、どっちが大事?

 

人には、まず理論を学び、そこから実践を積んでいくという「理論派タイプ」と、理論なんか学ばずにいきなり実践に入り、そこから試行錯誤して学ぶという「実践派タイプ」がいます。

まず、「実践派タイプ」が通用する分野を挙げましょう。

芸術系(音楽制作や小説や漫画など)やコミュ力やIT系(特に、操作系)です。言わば「身体で覚える系」です。

「実践派タイプ」は、ゲームで言えば説明書を読まずにプレイするタイプです。理論なんか学びません。実践の中で試行錯誤していくうちに自然と身につくと考えています。

「実践派タイプ」の長所は行動力にあります。

「理論派タイプ」がどちらかというと、頭でっかちで知識だけ得て満足しがちなのに対し、実践派は行動し、そして結果へとつなげます。

しかし、弱点はあります。効率が悪いのです。

ですが、身体で覚える系である、芸術系やコミュ力やIT系は、効率が悪くてもある程度通用する分野でしょう。

それに対して、「理論派タイプ」は、ゲームで言えばきちんと説明書を読んでからプレイします。実践の前に、理論的に学ぶ分野の概要を抑え、効率的に学びたいと思う人種です。

ここで、演繹法帰納法の話をします。

演繹法は、「一般(理論)から特殊(具体例)」であり、まず理論(一般)を学び、それを特殊(具体例)に当てはめようとします。

帰納法はその逆で、特殊(具体例)を積み重ね、そこから一般(理論)を生み出します。

身近な例で説明すると、ことわざがあります。ことわざの「一石二鳥」というのは、具体例を集めまくり、そこからこのような一般法則が生み出されたのです。

「一石二鳥」という一般法則が編み出された後は、それを日常生活に当てはめ、応用しようとします。

このようなことから、理論派は先人の知恵に学ぶタイプであり、先人の生み出した理論を活用させてもらい、それを日常生活や学問などに応用しようとするのです。

繹法(一般(理論)から特殊(具体例))を使うということですね。

学問分野ではかなりの歴史の積み重ねがあるので、実践派は通用しません。例えば、現代でニュートン万有引力の法則を編み出しても何の価値もありません。

だからこそ、学問では知識の詰め込みをまず、するのです。いきなり、実践に入る人などいません。

大学受験でも同じことが言えます。大学受験の勉強方法はある程度、確立されています。それらを本や有力指導者から教えられて、自分に合う勉強法に変えた方が効率的です。

いきなり、大学受験の勉強をやると、試行錯誤であり、時間がかかりすぎます

先ほど、身体で覚える系である、芸術系(音楽制作や小説や漫画など)やコミュ力やIT系は、実践派でも通用すると書きました。

それは、コミュ力において特に当てはまるのですが、コミュ力は理論よりも実践の中で身につく割合が高いからなのです。コミュ力を一番速く上げる方法はコミュ力のある人と付き合うことです。

いくら、本などで理論を学んでも、「コミュ力のある人」というリアルなお手本には勝りません。

さらに、コミュニケーションはかなり複雑なので、理論だけではよほど頭がいい人じゃないと、対応できないのです。人のタイプは千差万別であり、人によって態度を変えないといけないのですが、それがなかなか難しいのです。

つまり、頭だけでなく、身体で覚えるのがコミュ力です。

また、勉強タイプ(大学受験の高学歴)や理系(特に、IT系)の人たちに、コミュ力が弱い人種が多いと言われるのには理由があります。

勉強タイプは基本的に勉強ばかりしており、人間との付き合いが少ないのです。人間との付き合いをかなり多く取ると、勉強時間が少なくなり、高学歴が獲得できません。

勉強ばかりした人間はどうしてもコミュ力(人間関係の実践の場)の訓練を積みにくいのです。または、勉強の弊害なのか、理論に偏りすぎなのでしょう。

また、理系、特にIT系も同じような理屈になります。パソコンに向かい合いすぎて、人間との付き合いが極端に少なくなります。

では、文系はどうかと言うと、営業職に回されるのが基本なので、嫌でも人間関係を積み重ねることになります。また、勉強時間が理系よりも少ないので、人間関係に時間をつぎ込みやすくなります。

ただし、人間関係の達人は人間に興味を深く持ち、研究しています。人間に興味が薄い文系となると、コミュ力の訓練を積んでも、上達が遅いかもしれません。

芸術系も身体で覚えるものです。創作、創造力は理屈や理論ではなかなか修得できません。

最後のIT系の操作は特に、身体で覚えるものでしょう。IT系のプログラミングも、打ち込んでいく過程が身体で覚える系と言えます。プログラミングを頭だけで眺めるだけで覚えようなんて、無理ゲーなのです。

加えて、「実践派タイプ」の弱点を述べると、人に説明できない点です。

コミュ力の上達法や、芸術の創作活動の上達法を聞いても、たいていの場合「まずやってみろ」とか「習うより慣れろで、慣れだよ」とか言われたりします。

コミュ力も芸術系も、説明がしにくい分野でありますが、それらを理論立てている人もいるのに、大半の「実践派タイプ」は理屈で説明できません。(説明できるのは一部の人だけです)  理論で身につけたわけではないのが多くの「実践派タイプ」なので、そのような結果になります。

これらの話はさておき、「理論と実践、どちらを優先するか」は、分野により異なると言えます。タイトルの「理論と実践、どっちが大事?」への答えは両方ということになります。(平凡な答えです)

理論も実践も基本的には車の両輪であり、4対6か、5対5か、6対4ぐらいのバランスを取ることが大事だと思われます。

また、世の中には起業のように失敗がしづらい分野もあります。(日本では特に、失敗すると這い上がれません)  起業をする際に、理論も知らずに、いきなり「どうにかなる」と考え、実践に入ると、大変、危険でしょう。

身体で覚える系である「芸術系やコミュ力系やIT系」は失敗が基本的に許されます。もちろん、致命的な場面もありますが、基本的には実験や試行錯誤がやりやすい分野です。

だからこそ、実践派が通用します。(コミュニケーションは致命傷もありますが、芸術系やIT系は仕事でなければ、何回失敗しようが、やり直せます)

しかし、起業では実践派は敗れ去る可能性が高いです。理論と実践の違いをきちんと理解して使い分けることが大事と言えるでしょう。

私の多くの本は身体で覚える系も含めて、体系立てて、理論化することに力を注いだものが多いです。理論化すれば多くの人が、「習うより慣れろ」の世界から脱却でき、多少は効率が良い学びにつながるでしょう。

最後は実践がモノを言いますが、理論を学ぶことで効率を追求するのも手だと思います。